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「あきんどPLAZA」の事務局です。 今年度第1号のメルマガです。しばらくお休みしていましたが今月から再開です。 今年は、まずIT(Information Technology)を活用した地域活性化について考えて見たいと思います。東京都渋谷区の笹塚・幡ヶ谷地域の商店街Webサイトとして有名な「ささはたドッとこむ」を立ち上げ運営されている、アンカーコム有限会社代表の長坂由佳さんをメインとして各地域でIT活用による地域活性化に取り組んでいらっしゃる方々に執筆いただく予定です。長坂さんは、最近では地域サイト同士の連携と相互発展を図る目的で、LisNET地域サイトネットワークも運営され、代表を務めていらっしゃいます。 また、2007年から迎える人口減少や既に始まっている少子高齢化など、消費動向を始め経営環境はますます複雑化しそうです。そこで、こうした環境変化とそれに対応したマーケティングを小売店はどのように考えて行けばよいか、事例を交えて考察していただきます。ご執筆は、中小企業診断士で株式会社TBC代表取締役社長の木下安司先生です。 それでは今回は以下のメニューでお届けいたします。また、このメルマガへのご意見・ご感想も下さいね。
■インターネットという情報発信ツールの現状 インターネットの進歩や普及は急速に進み、今やインターネット人口普及率は60%を超え、世帯普及率は80%を超えるまでになりました。10人のうち6人はインターネットを使っており、家庭でも10軒のうち8軒にはインターネット接続環境が整っていることになります(参考数値:平成17年版 情報通信白書による)。 全国紙新聞の世帯普及率の合計が60%をやや切るところで推移していることと比較しても、いかにインターネットの普及や利用が拡大しているかが分かるでしょう(参考数値:日本ABC協会レポートによる)。 新聞とインターネットを単純に比較することはできませんが、世帯普及率の点で言えば、インターネットは新聞を超えるメディアになった、といえるのです。私達は10年という短い時間で、大勢の人に情報を発信する道具(ツール)を手に入れたのです。 これほど強力な道具なのに、地域におけるIT活用の分野では、多くの課題を耳にすることは多くても、成功事例や希望を目にすることはまだ少ないですね。それは、あまりに短い時間で発展した道具であるがゆえに、地域での活用ノウハウがまだ確立・普及していないからなのです。 ■地域サイトの相互成長フォーラム『地域サイトネットワーク』とは 私は、平成10年から、東京都渋谷区笹塚・幡ヶ谷の10商店街合同地域サイト『ささはたドッとこむ』を企画制作運営し、地元10商店街のリーダー達と共同で商店街活性化・地域活性化に取り組んでいます。 商店街のIT活用事例として多くの媒体で取り上げて頂いたり、昨年度は、日経地域情報化大賞・日経MJ賞を受賞するなどご評価を頂けるようになりましたが、それでも、「人」「もの」「カネ」が不足がちな商店街活動のなかで、どのように最大限の効果を生みだしていくか、迷いながら進むことも多いのです。 平成13年頃、そんな自分の周囲に、地域活性化とIT活用に取り組む仲間が増えてきたことを感じはじめました。ならば孤軍奮闘するのは卒業して、同じ志を持った人たちと一緒に勉強し励ましあい成長していきたいと思い、平成15年12月に『地域サイトネットワーク』を開始しました。地域サイト運営者の全国的なネットワーク組織です。 ■全国各地の取組み事例 次回から4回にわたり、『地域サイトネットワーク』メンバーに取組みを紹介してもらいます。運営主体は、企業・個人・商店街など様々で、取組みの内容も地域の特色ごとにバラエティに富んでいます。 ▼神奈川県鎌倉市『鎌倉TODAY』 石井浩彦氏
▼大分県佐伯市『さいきり~ふ』 加嶋智美氏
▼兵庫県姫路市『ほりほりの姫路ガイド』 堀田周郎氏
▼東京都渋谷区『ささはたドッとこむ』 長坂由佳
■諦めずに一歩一歩 こちらのメールマガジンでご紹介する事例はわずかに4事例ですが、『地域サイトネットワーク』では、全国に埋もれた素晴らしい事例にスポットを当て、普遍のノウハウを確立するためのケーススタディを豊かにしていこうとしています。 こちらを講読している方の中には、地域や商店街のホームページ制作・運営に苦労されている方がいらっしゃると思いますが、諦めずに取組んでまいりましょう。インターネットの歴史はまだ10年です。多くの実践者の知恵が集まれば乗り越えられると思っています。 それでは、次回からの事例紹介をお楽しみにお待ちください。またこのメールマガジン上で会いましょう!
商売は“先読み”ではなく“後追い”が重要 1.環境適応型か変化対応型か 21世紀は、20世紀以上に環境変化が速く起きている。この激しい環境変化に対応するために、商売は環境適応型で行くのか、それとも変化対応型で行くのか。あなたはどちらを選ぶのだろうか。 環境適応型は、“環境”すなわち“社会”を静的なものと考え、変化は一時的なものと考えている。したがって、変化が過ぎ去れば環境は元の状態に戻ると考える。一方、変化対応型は「“環境=社会”は変わるもの」と動的なものと考えている。動的なものだから、後追いでもいいから、追いかけて行こうと考える。実は、この差は大きい。 たとえて言えば、環境適応型は社会変化を“気候”でとらえている。異常気象や地球温暖化は心配だが、めったに起こらないから“平均気温”に合わせて暮らしましょう、となる。一方、変化対応型は社会を“天候”で考える。関心事は今日の“天気”であって「雨だな」と思えばかさを用意するし、かんかん照りなら「布団でも干そうかな」と考える。 商売にはどちらが向いているか、もうお分かりだろう。環境適応型は、環境に適応した頃、環境、社会は変わっている。変化対応型は、変化の先取りをするのではなく、後追いでもいいからついていこうとする。変化対応型の代表は、コンビニである。 2.変わり続けたものが勝つ コンビニ業界の飽和が言われて久しい。しかし、飽和状態の中でもいまだに売上を伸ばしている店がある。セブン-イレブンの1号豊洲店は、東京都江東区の商店街に立地している普通の酒販店であった。今から30年前にオーナーの山本さんは、CVSが海のものとも山のものとも分からない時代に、酒屋の将来性をあきらめCVSに業態転換した。もちろん、本部から進められたのではなく、自ら本部の門をたたいて業態転換を決断したのである。いまでこそ、近隣にはマンションや高層オフィスビルが立ち並ぶCVS一等地になっているが、当時はごく普通の商店街に立地するごく普通の酒屋であった。 時が経ち、30年後のセブン-イレブン豊洲店の外観が、写真1である。5階建ての自社ビルは、2階以上をテナントに貸しているものの、今でも商売の基本はCVS事業である。一日の売上高が、セブン-イレブンの中でもトップクラスであるにもかかわらず、現在もオーナーの山本さんは自らパート・アルバイトの陣頭指揮をとっている。セブン-イレブンの古いオーナーの中には、儲かってくると店の経営を社員に任せ、自分は商売から一歩足を引き、趣味の世界に浸っている者もいる。しかし、山本さんは今でもリーダーとして率先し、朝5時からのパートミーティングを欠かさず開催している。何かの本で読んだことがあるが、商売とは“商い”すなわち、“飽きずに続ける”ことにあるという。山本さんは、CVSの経営の基本を忠実に30年間実践し続けているのである。 店は、写真2に見るように決してきれいな部類には入らない。しかし、店には常に活気がみなぎっている。パート・アルバイトの大きな声、店内のいたるところに設置された顧客の目を引くPOPやチラシ類、CMのビデオ放映でにぎやかさの演出、品切れの少ないフェースアップされた商品などが相まって活気をもたらしている。「店全体が商品を売りたい」と訴えていることが顧客に伝わってくる店である。CVS全体の売上高が前年割れしている中にあって、豊洲店の売上高は前年同月比をクリアしていると聞く。 消費者動向の変化をすばやく察知し、すぐに対策を講じる。“後読みの早さ”が、21世紀の商売のポイントになっていることは確かである。 参考:「セブン-イレブンに学ぶ超変革力」木下安司著、講談社刊
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