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「あきんどPLAZA」の事務局です。 今年度第4号、7月9日号です。 さて、本当は7月10日の発行予定なのですが、10日が土曜日ということもあって前日の9日に発行いたします。 毎度お馴染み?今日は何の日、ということで7月10日って何の日ですか。そう、読んでそのまま納豆(なっとう)の日なのです。おくら納豆、納豆汁・・・私も納豆大好きです。納豆について調べようとしたら、全国納豆協同組合連合会が運営する公式サイト「日本納豆情報・PRセンター」という素晴らしいサイトがありました。まさに、納豆のすべてがわかるのです。納豆の歴史から健康効果、納豆料理などあらゆる納豆情報が満載です。納豆クイーンという表彰もあり、なかなか楽しく、一生懸命さがヒシヒシと伝わってくるサイトです。 皆様も、まちかどの納豆博士になりたかったら、是非訪れてみてください。 さて、今回は以下のメニューでお届けします。また、このメルマガへのご意見・ご感想も下さいね。
間違いだらけの逸品運動 ■補助金頼みで形骸化 先日、ある市の担当者から、逸品運動の展開についてご質問を受けた。その市では、2年前から、多額の補助金をつけて、まちのイベントとして、逸品運動に取り組んでいるとのことであった。行政側の積極的な働きかけもあり、参加者は増えている。しかし、地元消費者の逸品に対する評価は芳しくなく、運動としての盛り上がりも、今一つというものであった。運動の内容をお聞きしてみると、逸品研究会のような、商業者による逸品の検討会もなく、お祭り的に逸品フェアだけが、開催されてきている。また、チラシを拝見したが、逸品と名ばかりの商品ばかりで、おすすめの説明にも説得力がない。お買い得品を、逸品として掲載しているお店も見られるほどであった。 確かに、ここ数年で、一店逸品運動は、着実な広がりをみせている。しかし、こうした逸品運動の広がりの一方、相変わらずチラシづくりとイベント先行の、形ばかりの逸品運動が後を絶たないことも事実である。 こんなことをしていると、お客様の逸品に対する悪評が、立ちかねないし、効果のない運動ということで、商業者の意欲も低下してしまうだろう。逸品運動は誰のためにするものなのか、お客様のお店への期待はどんなものなのかといった、もっと地に足のついた「運動」として、逸品運動に取り組まなければいけない。 ■ブランドづくりや名物づくりではない 逸品の話をしていると、「それは横浜にある元町商店街の、『元町ブランド』のようなものですか」といった質問を、よく受ける。そして、ある町では、「うちの町も『○○ブランド』をつくろう」といった話に発展したことがある。そんなとき、わたしは「待ってください。元町のように知名度も高く、その名前を聞いただけである種のイメージができるような町ならブランドづくりは、効果的ですよ。でも、おたくの町は知名度もないし、お客が来てくれないで困っているんでしょう。ブランドを作ったからといってお客様が来てくれるほど、お客様は甘くありませんよ。」とお話しした。逸品は、ブランドづくりではないのである。 また、観光客目当ての商品を、逸品として出してくるお店もある。たとえば、地元の地ビールで作った「地ビール饅頭」なる商品を、逸品として出してこられたお店があった。確かに、めずらしいのだが、食べてみても特段おいしいわけでもなく、そもそも、なぜ地ビールなのか、消費者にとっての効用やメリットは何なのかの説明もない。逸品の対象は、観光客ではない。逸品は、お店や商店街の活性化を前提にしているので、対象顧客は、あくまでも地元の生活者である。観光みやげ的な商品は、地元のお客様には全く関係ない商品と言っても過言ではない。一過性の「めずらしいだけの商品」を逸品とするのではなく、地元のお客様に、自信を持っておすすめすることができるような、品質を伴った商品を、逸品としなければならない。 ■カタログづくりではない 逸品の取り組みの中で、必ず、失敗するパターンがある。それは、カタログやチラシづくりから取り組む商店街である。大いなる勘違いであるが、「逸品が並んでいるカタログを作って、配布すれば、たくさんお客様が来てくれて、売れるんだ」と思い込んでいるらしい。しかし、形としてのカタログから始めても、肝心の逸品の検討がきちんとできていないため、お客様には受け入れてもらえない。また、これまでもやってきた、ナイトバザールや朝市のように、単なる物まねをしたところも、必ず失敗する。カタログやフェアといった結果をまねるのではなく、逸品づくりや逸品の検討など、プロセスや活動そのものに目を向けて、先進地を研究していただきたい。
小売店の成功事例に学ぶ 前回の話は、『顧客』から『個客』へ考え方を変え、お客様ひとりひとりの売上を上げていく。これを『生涯価値』と言いました。今回は、『個客満足づくり』をうまくやっている小売店の事例をご紹介します。 <ブティックA店> 横浜市にある『ブティックA』は、店主とパート店員3名の小さな店です。お客様も全部で200名ほどですが、顧客データベースを使いこなしてお客様に喜ばれている店です。 入っているデータは、名前と購買履歴だけです。使い道は、商品仕入と商品管理です。Aさんは、去年、黒いスカートを買ったから、それに合わせたブラウスやセーターを仕入れてあげるという形です。特定のお客様に合わせた仕入をしているので、ほぼ間違いなく売れていくわけです。お客様が亡くなったときに、お葬式に呼ばれて、その方のタンスが自店で販売した洋服だけで埋め尽くされていることが夢だそうです。 顧客データベースには、年齢も趣味も色の好みも、住所すら入っていません。年齢を言入れてないのは、「最近は、同じ年齢でも若い格好を好きな人もいれば、実年齢より落ち着いた格好をする人もいる。その人が何歳だからということで、余計な先入観を持たないため」。色の好みも、「変わることもあるから」。その人が、過去にどういう服を買ったかだけが重要であるとのこと。 住所は、宛先打ち出し専用のソフトに入っているので、それで十分とのこと。 A店のIT利用の秘訣は、目的に合わせた情報の量と管理の仕方を実践していることです。シンプルだからこそ、役に立つシステムになっているのです。 <みやげものB店> 山形にある『みやげものB店』は、新幹線の通らない日本海側にあります。交通の便の悪さをカバーするため、早い時期から山形の特産品を通信販売してきました。最近では、インターネットでの売上も伸ばしています。そういう経緯から、顧客データベースは、かなり充実しています。山形で生産、製造された自慢できる商品だけを扱っており、通販の世界でも人気のある店です。 しかし、本当の人気の秘密は、徹底したクレーム処理です。寄せられたクレームには、迅速なスピードで対応しています。クレームは電話やメールできますが、対処方法を上に報告してから対応していたのでは、遅くなってしまいます。そこで、電話を受けた担当者に、権限委譲が行われています。また、食品には珍しい返品・交換も行っています。 一度、熊本からクレームをくださったお客様に、若い担当者がお詫びに行きました。「しっかりお詫びするまで帰ってくるな」という社長命令を請けて。そのお客様は、ちょうど海外旅行に行っており、3日後に帰ってきたそうです。若い担当者は、その家の前で、3日間、待っていたのです。そのお客様が、B店のファンになったことは、言うまでもありません。 お客様から来たクレームに対応するだけでなく、顧客データベースを使って、注文のあったお客様を選び、ご意見を聞いています。「わざわざ電話して貰ったのだから」と、言わずにすましたであろう苦情を話してくださるお客様も多いと言います。このお客様は、そのままにしておけば、離れた可能性のあるお客様です。 B店繁盛の秘密は、商品の品質がよいことはもちろんですが、クレーム対応を丁寧にすることで、お客様に喜んで頂きたいという“思い”があることです。そして、その“思い”を実現する権限委譲の体制、クレームを引き出すための顧客データベースの仕組みが敷かれているのです。
6月22日に異動になり、後任の商業課長に横山典弘が着任いたしました。全国の商店街関係者の皆様から頂きましたご厚誼に感謝申し上げますと共に、後任の横山を私同様、よろしくお願い申し上げます。 さて、中心市街地活性化法は、平成10年に施行されたわけですが、昨年度は法施行から5年目ということで政策評価法に基づく中間評価を実施しました。この中間評価の結果につきましては、7月の上~中旬には、経済産業省のHPにもアップされますが、その概要を簡単にご紹介したいと思います。 中小企業庁では、この中間評価に先立って、ハード・ソフトの支援策を活用した自治体や商店街振興組合の皆さんにアンケート調査を実施しました。このアンケート調査の結果をみますと、ハード・ソフトともに、個別事業については、8~9割の皆さんが事業目標を達成できたという回答になっています。しかしながら、中心市街地活性化を進めていくためには、その事業自体がうまくいくことは当然のこととして、それが中心市街地に波及するものでなければなりません。アンケート調査では、その事業が中心市街地全体の商業への寄与については、達成できたとする回答は、約4割に止まっており、「不明」という回答も3~4割となるなど、当初から、全体への波及効果ということについて意識が足りなかったのではないかと思わざるを得ない回答となっています。 商業課長在任期間中、全国の商店街やTMOを回ってきましたが、確かにこうした数字を裏づける案件を、しばしば目にしました。特に、再開発事業の案件については、その事業そのものの事業性が重視され、過大な商業床が作られ、周辺の活性化ということはほとんど考慮されていないケースをしばしば目にします。この写真は、シャッター通りとなったある商店街ですが、実は、この商店街の真ん中に、中心市街地活性化の補助金を活用して、シネコン、アスレチッククラブ、百貨店に駐車場を備えた再開発ビルがあります。かなり広域から集客を行い、再開発ビル自体は賑わっているのですが、周辺の商店街には、ほとんど波及がないという典型的な事例ではないかと思います。 これと対局をなしているのが、金沢市のプレーゴのような開発です。片町・香林坊地区の商店街活性化のために、空き地・空きビルや通行量に関する調査を踏まえて、地域の回遊性を向上させるための「通路」であり、「広場」としての役割を担う施設として開発された施設です。この「プレーゴ」は、顧客吸引力をもつ有力テナントも備えていますが、建物は1層となっている等、その施設自体の収益を最大化ではなく、商業集積全体の活性化を目的とした施設となっています。周辺商店街では、回遊性が向上した結果、空き店舗が埋まり、個店の投資(改装)が進むなど、商業集積としての魅力向上につながっていますが、その核になっているのが「プレーゴ」というわけです。 前回、あきんどPLAZAで「商業集積マネジメント能力の向上が重要」という話を書きましたが、つまるところ、全体の活性化のために、しっかりとした調査を行い、計画を立て、テナント誘致、その後の管理運営を行うというマネジメントが重要だということです。このため、今年度から、中小企業基盤整備機構が実施するTMOサポート事業では、各地域の商業集積マネジメント能力を診断し、フィードバックするという形の事業に切り替えを行いました。また、来年度からは、商業関係の補助金を採択する際にも、商業集積マネジメント能力を重要な評価基準の1つとしていきたいと考えています。 こうした意識が各地域で定着して、中心市街地の商業集積活性化が図られることを、切に期待しています。
商業の活性化、さらには、地域の活性化への取組みのひとつとして、商店街と銀行、金融機関とのコラボレートが考えられます。 すでにご存知かも知れませんが、近畿経済産業局管内の事例として、以下、株式会社りそな銀行 大阪営業サポート部 藤原明さんのお話をご紹介します。 りそな銀行は、天神橋筋商店街のほか、神戸南京町商店街でも同様の企画を行っています。 りそな銀行では、地域活性化を応援していくために様々な取り組みを行っています。 その1つとして、NPO法人天神天満町街トラスト、大阪市立大学商学部、りそな銀行、近畿大阪銀行は、『天神橋筋商店街まちおこし』共同企画を展開しています。これは、天神橋筋商店街の活性化をキーワードとしたコラボレート企画で、具体的には、以下の施策の具現化からスタートしたものです。
■地域コミュニケーション誌『Reenal(リーナル)【天神橋筋商店街版】』の創刊
りそな銀行と天神橋筋商店街の取り組みはスタートラインについたばかりですが、両者あるいは、大学を含めた三者が同じテーブルについて、コラボレート企画を展開し始めたという点では、大きな意味があると考えています。これまでは、商店街に支店が店舗を構えているのにも関わらず、商店街との関係は必ずしも親密な関係が築けているわけではありませんでした。支店に勤務している者の大半は、営業担当の者を除けば、自宅と支店を往復するだけで、支店の周りの街の様子を知ることもなく、商店街の方を含め、近隣のお客様にとって「顔の見える」支店運営にはなっていませんでした。これに対し、今回の共同企画の一つであるReenalの編集に携わった女性社員が、取材を通じて街を再発見したり、地域の方とコミュニケーションを図るなど、地域に強い関心を持つようになり、「地域との共生」を標榜している当社にとっては、第一歩を踏み出したと言えます。 これまで天神橋筋商店街では行政・大学などと連携して様々な活性化策を講じておられましたが、そこに、りそな銀行が加わることによって、新たな展開の可能性の芽が出てきています。例えば、天神橋商店街とりそな銀行とのまちおこし共同企画に着目した、映画のプロモーション会社から、主人公が舞台となる商店街の花火大会を復活させ、商店街復興の役割を担っている映画の関西地区のプロモーションに関する申し入れがあり、りそな銀行本店ビル地下講堂で試写会(※)を開催することになりました。これ以外にも、複数の企業からの申し入れなど、新たなアイディアの具現化に向けた動きが少しずつ出始めています。 天神橋筋商店街との共同企画は、定期預金の証書袋を地域オリジナルのものを作ってみようという、小さな取り組みでしたが、その反響はわれわれの予想以上のものとなってきていると言えます。今後もりそな銀行が地域活性化に貢献していくことを目指していく上で、天神橋筋商店街のまちおこし共同企画がよい先行事例となればと考えています。 (※)試写会は、平成16年6月1日に、抽選により招待された600名の参加を得て、開催されました。 <参考> 株式会社 りそな銀行 大阪営業サポート部 藤原 明 大阪市中央区備後町2-2-1 TEL:06-6271-1221 URL:http://www.resona-gr.co.jp
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