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株式会社日本総合研究所
研究事業本部 主任研究員 |
矢ヶ崎紀子 |
NPOを見極めるのは難しい?
わが国の特定非営利活動法人(通称 NPO法人)は、2004年1月末現在で、認証数の累計が15,151団体となりました。特定非営利活動促進法が施行されてから一貫して増加傾向にあります。
しかし、最近では、暴力団がNPOをつくって活動していたり、特定非営利活動促進法の精神にそぐわない活動をしているNPOも出て来ており、新聞に取り上げられています。
NPO法人は、所定の事務書類を都道府県や内閣府の担当部署に提出し、事務書類上不備等がなければ認められるという「認証」によって、法人格を取得します。
市民活動の本旨からも、お上による認可などの許可制ではないのです。ですから、株式会社等と同様に、信頼に足るNPO法人なのかどうかについて、市民が自己責任に基づいて判断することが求められます。ただし、株式会社等ほど情報が公開されていなかったり、公平な立場の第三者からの評価のしくみが不十分だったりといった問題点があるため、市民が判断するには、なかなか難しい面もあります。
NPOを見分けるのは、どうしたらよいのですか?
商店街とNPOの連携が全国的に着実に進展しており、筆者も多くの県商店街振興組合連合会や地域の商店街振興組合からお招きを受けて講演活動を行っております。
その際に、よく、「最近NPOにも物騒なのがあるようですけど、パートナーとして信頼に足るNPOは、どのように見分けたらいいのですか?」というご質問を頂戴します。確かに、身近にNPO活動を知っている人でなければ、新聞に取り沙汰されるような事件はショッキングです。認証数が15,000を超えるNPO法人のなかで、あこぎな活動をしている団体はほんの一握りであると思われるのですが、NPOに馴染みのない人が心配になってしまうのも無理はありません。
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しかし、あまり心配されなくても大丈夫です。
大半のNPOは、地域の様々なニーズや課題をなんとかしようと、真面目に、素朴に、そして、良い意味で不器用に、活動をしています。そういったNPOと一緒に何かの連携事業をしようと思う場合には、まず、その代表者等の中心人物の人柄について、よくみてください。取引先の信用度合いを測る場合と同じです。まずは、“人物”です。その上で、団体のスタッフの状況や収支の状況をみて、組織の体力にみあった活動をしているか、将来計画があるときに、それを段階的に実現していこうとする計画性があるか、どんな組織や人々がその団体を応援しているのか、などの観点から、判断して頂くとよいでしょう。
チャレンジングなNPOの見つけ方のヒント
ここで、面白い活動をしている“いきのいい”NPOの見つけ方を一つご紹介しましょう。
それは、企業の社会貢献活動をみることです。企業の社会的責任が求められるなかで、NPOとのパートナーシップに力を入れる企業が出てきました。その方法として、NPOへの助成プログラムがあります。NPOにやりたい活動を企画提案してもらい、それを審査した上で資金支援を行うのです。
ファイザー製薬株式会社は、「ファイザープログラム-心とからだのヘルスケアに関する市民活動支援」を実施しており、2003年度の新規助成案件は13件(助成合計額2,910万円)でした。また、マイクロソフト株式会社のNPO支援プログラムは、IT活用による市民活動を支援するため、2003年度には8件(助成合計額2,000万円)への助成を行っています→詳しくはこちら
例示した2社は、助成審査を行う際に、NPO活動にくわしい有識者や実践家による第三者の審査委員会を組成し、審査に客観性をもたせ、将来性のあるNPOを選択して資源を集中投下しています。このようなしっかりした審査機能をもっている企業の助成先NPOの情報は、各社の社会貢献活動のHP上で公開されています。ここに掲載されているNPOには、先駆的かつ将来性のある活動をチャレンジングに展開しているものが多いので、ぜひ、参考にされてください。 |