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イオン 幸せの黄色いレシート |
キャンペーン |
株式会社日本総合研究所 研究事業本部 主任研究員 |
矢ヶ崎紀子 |
最近、テレビのコマーシャルで、「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」の紹介が放映されています。
毎月11日に、イオン株式会社およびイオンモール株式会社全従業員が地域への社会貢献活動を行う「イオンデー」が開催され、その一環として、地域のボランティア団体等にイオンおよびイオンモールが物品を助成するキャンペーンです。
「イオンデー」には、買い物客に手渡されるレシートが黄色いレシートに変わり、お客さんは、店内に設置された専用の投函ボックスの前で、自分が応援したいと思うボランティア団体を選び、レシートを入れます。そうすると、投函されたレシート金額の1%に相当する額の商品が、イオンおよびイオンモールから、そのボランティア団体に寄贈される、という仕組みです。助成先団体は、福祉、環境、まちづくり、文化・芸術振興、子どもの健全育成の分野で活動している団体で、過去6ヶ月以上の定期的な活動実績がある団体となっています。寄贈される物品は基本的にはイオンおよびイオンモールで取り扱っている商品ですが、ボランティア団体がそれ以外の物品を希望する場合には相談に応じているとのことです。
黄色いレシートの集計は、2月下旬と8月下旬の2回実施されており、2002年8月の実績では、助成希望の登録団体は2,872団体、投函レシートの総額が約21.3億円で、その1%の2,131万円相当の物品がお客さんが選んだ登録団体に寄贈されたとのことです。
地域の人々にやさしいSC
青森県下田町のイオン下田ショッピングセンターには、SCとNPOが計画段階から協働して開設したデイサービスセンター「でてこいセンターふぉれすと」があります。
デイサービスセンターは広さ70㎡、利用定員10名で、特定非営利活動法人自立支援センターフィフティが運営しています。
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介護保険指定施設ですが、保険適用外の利用者も受け付けています。運営しているNPO法人では、通常の閉ざされたデイサービス拠点と異なり、SC全体が丸ごとデイサービスセンターだと考えており、利用者に買い物やSC内の散歩等も楽しんでもらっているとのことです。
また、このSCでは、高齢者や身体障害者の買い物の手伝いを行うボランティアをガイドヘルパーとして登録しています。サポートセンターの受付カウンターに相談するとサービスが受けられるようになっています。
最近では、働く母親や、ちょっと用を足したい間に子どもを預かってほしい母親を対象に、月極でも時間単位でも利用可能な保育室がオープンしました。時間制の料金は、30分単位で設定され、予約延長時間は10分単位で精算するなどのきめ細かさです。受付料500円を支払えば、当日受付も可能です。
商店街も負けてはいられない!
ご紹介したイオンの取り組みは、近年の企業の社会的責任論がベースともなっています。
「より良い商品・サービスを提供すること」、「法令を遵守し、倫理的行動をとること」、「収益をあげ、税金を納めること」、「株主やオーナーに配当すること」だけでなく、「積極的な情報開示」、「誠実な顧客対応」、「社員の育児・介護への配慮」、「男女間の機会均等」、「環境への配慮」、「社会貢献活動への関与」、「NGO/NPOとの協力・連携」、「貧困や紛争解決などの世界的諸課題解決への行動」などを包含して企業の社会的責任といいます(http://www.csrjapan.jp/)。特に、地域密着店舗を目指す大型店にとっては、商売の方向性との親和性が高いものです。
さて、商店街の多くは、地域社会に密着することによって、郊外の大型店との差別化をはかり、地域社会との共生を目指してきました。どうやら、そろそろ、「地域密着」や「地域との共生」といったスローガンのレベルではなく、郊外の大型店の地域密着戦略を注視しながら、商店街としての戦略を真剣に考えていく段階にきているようです。お客さんは、企業規模の大小に関わらず、地域社会の一員としての企業活動にも、選択の目を向け始めているかもしれません。 |