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「あきんどPLAZAの事務局」です。
11月 霜月。全振連が発刊している商店街plaza 安達昌人の販促カレンダーからおいしい所をピックアップすると、5日はいいりんごの日(青森県制定)、11日はピーナッツの日、15日はかまぼこの日、こんぶの日、第三木曜の20日がボジョレーヌーボー解禁日。秋も深まり、食も豊かになり嬉しい季節です。
あきんどplaza第2号では、緒方知行商人塾第三講がスタートした他、各地の情報を発信します。

コンテンツ
緒方知行商人塾第三講 株式会社オフィス2020新社 ――― 主幹 緒方知行
融資を受けられれば、NPOも一人前? ――― 株式会社日本総合研究所 研究事業本部 主任研究員 矢ヶ崎紀子
中心市街地の空洞化をもたらしたもの ――― 中小企業庁 商業課長 横田俊之
商店・商店街NOW! 花園商店街振興組合(愛知県豊橋市) ――― 研究員 高石一光

緒方知行商人塾第3講

緒方さん 【第1講】
-企業(店)文化の競争時代-
株式会社オフィス2020新社
主幹 緒方知行

「ホンダクリオ新神奈川」という神奈川県下に十数店の自動車販売店(中古販売店も含め)を持っているカーディーラーがある。この会社は、毎年毎年この不況と競争の厳しいご時世下で販売業績を伸ばし、従業員一人あたりの販売台数においても業界トップ水準の実績をあげている。このすぐれた業績の背後にあるのは、ホンダの全販売会社中何年も連続してCS(顧客満足)度ナンバーワンの表彰を受け続けているということに表われている顧客の支持の高さがある。「おたくは別に他の店に比べ値段は安くないけど、この店が好きだから同じ買うならおたくで買う」というファン客がたくさんいるということが業績に表われているのだ。

この企業は全店毎朝始業前、店長以下全員が雨の日以外自分の店の前の道路を両側何百メートルにもわたって徹底して掃除をしている。どの店も、何度も地域の表彰を受けている。もちろん、通りすがりの人たちが「おかげさまで…」「がんばってね」「ありがとう」とねぎらいや、御礼や励ましの言葉をかけて通る。もちろん掃除をしているからそれが直接業績につながっているということはない。これを形だけ真似てみたけど業績につながらないのですぐやめたというライバル店もある。問題は、そうした目先の業績を求めてこの企業が毎朝毎朝全員で店の前の掃除をしているのではないということを、このライバル店は理解し得なかったのである。

人にとって、他人からほめられたり、評価されたり、おかげさまでと喜んでもらったり、自分が世の中に役立っていることを実感できることほど嬉しいことはない。幸せに思い、誇らしくも感じられる。そういうことを通して人に役立ちたい、地域に貢献したい、他人に喜んでもらいたい ―― そして人の喜ぶ姿、感謝の言葉が自分にとっての生きがいになる。
この企業の従業員たちは、全員が人の喜び、他人の幸せ、地域の人たちから受ける感謝の言葉に励まされ、目先の損得をこえて毎日掃除に精を出している。
その心のもちようが、日常の商売の姿勢にも表われている。お客の車が入ってくると、女子従業員も含めて全員が手がすいていれば表に飛び出して「いらっしゃいませ!」と体いっぱいおもてなしの心にして客を迎える。客のほうも、こんな歓迎にあって不機嫌になるはずはない。
客用のトイレを見てびっくりした。世界中でこれほどいい気分のトイレは他にあるまいというほどにアメニティの高いものだが、女子従業員たちのお客をおもてなしする心づくしの姿勢が手にとるように分かる。これも「お客の喜ぶ姿」が自分の喜びというこの企業の組織文化の表われなのである。

一事が万事、テクニックではなくその組織文化が他の商売にはマネのできない顧客満足レベルの高さをあらゆる日常の業務の場面につくりあげてしまっているのだ。これが、高い顧客支持力、競争力をつくっているのだ。

セブン-イレブンの給田店(東京・世田谷)も店主自ら率先し、従業員とチームをつくって商圏内を一日中清掃キャラバンして回っている。この店も業績は高い。セブン-イレブン全店の日販平均(約69万円)の倍近い業績を立地も必ずしもよくないのに上げているが、この店も入った瞬間アメニティ(快適レベル)が高い。店全体がお客に対して「いらっしゃいませ」と言っているという感じである。街中をきれいに雨の日も風の日も、昼も夜もして回っているほどだから、店のトイレは客からすれば、自分の家のそれを使うよりいいというくらいの快適レベルの高さだ。これも店の持つ組織文化のもたらすものだ。 
この店主は、「自分はこの地域で生まれ、育った。その地域をいつもきれいにするのは当たり前のことだ」というが、ホンダクリオ新神奈川のトップも同じように言う。「自分たちが生かされている地域の掃除をするというのは、それが商売の業績につながるかどうか以前に当たり前のことではないか」と言ってのける。このトップの姿勢が企業の文化、組織の文化、店の文化をつくる。そして、それが結果として商いの高い価値へとつながる。そういう時代である。


融資を受けられれば、NPOも一人前?

矢ヶ崎さん 「融資を受けられれば、
NPOも一人前?」
株式会社日本総合研究所
研究事業本部 主任研究員
矢ヶ崎紀子

平成13年度の全振連の調査「NPO等地域との連携による商店街活動」報告書を皮切りに、商店街とNPOの連携を通じて、これまでと異なる層の集客に成功する等の短期的な成果や、商店街が地域と共に生きていく体質に変わっていくといった長期的な成果が期待できることが紹介されてきました。

現在では、商店街の方々にとっても、NPOの存在がずいぶん身近なものになったのではないでしょうか。しかし、NPOは日々進化(?)しており、ベンチャービジネス支援のNPOが出てきたり、労働相談専門のNPOが活動を開始したりと、活動分野が多様化しています。一方、行政から事業委託を受けたり、企業の社会貢献活動と協働したりと、公的セクターや営利セクターとのパートナーシップが進んできています。さらには、とうとう、商工会議所のメンバーになる道が、NPOにも開かれるようになりました。2002年3月の経済産業省の通達を受けて、「地区内の協同組合、信用金庫、公社または経済関係団体」などとなっていた会員資格が、「地区内で事業活動を行う団体」などとなってきています。日本商工会議所の調査(2002年12月)によると、NPO法人に会員資格を拡大した商工会議所は304。そのうち、24の会議所ではNPO法人の入会があり、その活動分野は、まちづくり、教育・文化振興、医療・福祉などでした。

このように、NPO業界(?)というのは、ウォッチに油断が許されない、研究員泣かせの業界であります。今日は、この業界の最近の動きについてお知らせしたいと思います。それは、NPOの最大の課題の一つである資金不足に対応する方法が着々と開発されていることです。商売の世界では、金融機関からきちんと金を借りて返済するなかで事業をまわすことができて一人前ですが、NPOにも融資の道が開かれつつあることをご紹介します。NPOと連携しようと思っている商店街のみなさん、もし、身近なNPOが資金面で困っていたら、お近くの信金や労金までご案内ください。もちろん、ビジネスプランのしっかりしたNPOに限りますが…。
<西武信用金庫:西武コミュニティローン
 (コミュニティビジネス支援ローン)>

地元で、地域貢献のためにビジネスを営む人へ、低利で無担保1,000万円まで支援(5年以内)。不動産担保がある場合には、当金庫担保評価の範囲内まで利用可能。
使途は、(1)NPO法人設立後の活動資金、設備資金、(2)認定保育所の開設資金、設備資金、または経営に必要な資金、(3)医療関連施設の設置、整備、または経営に必要な資金、(4)コミュニティビジネスの創出資金、充実資金、の4つが想定されています。原則、法人の場合は代表者、個人事業主の場合は事業承継者の保証が必要です。

近くにそんな信金はない、とおっしゃるみなさん。地銀のなかにも、同様の制度を発足させているところがあります。例えば、宮崎太陽銀行では、50万円以上500万円以内で、NPO法人に融資をしています。

NPOへの融資は不良債権になることが少なく、小額でも確実に返済が見込めるという声もあります。NPOは儲けなくてもいい団体ではなく、適正な利益をあげて、その利益を次の事業に再投資する団体です。儲けを関係者で分配しないという非営利性が本旨ですから、しっかりしたビジネスプランがある団体であれば、立派に融資対象となるのです。

NPOにとっても、助成や補助といった資金支援だけでなく、融資を受けられるということは、朗報です。融資を受けるためには、自分達のビジネスプランを他人に納得させるレベルにブラッシュアップしなければなりません。その過程で、NPOはビジネス力をつけていくことができます。そして、コスト意識のある事業実施が可能となっていきます。NPOのエンパワーメントに有効なのです。

いかがですか?また少しNPOへの見方がよい方向に変わった方がいらっしゃると幸です。


中心市街地の空洞化をもたらしたもの

商店・商店街Now!
横田さん
中心市街地の空洞化をもたらしたもの
中小企業庁 商業課長
横田俊之
花園商店街振興組合 ~ 愛知県豊橋市 ~

車いすが起爆剤:お年寄りの街に新たな息吹!

10月22日に八戸で開催された共通商品券全国大会in「はちのへ」のパネリストと一人として参加した際に、青森市、北上市、仙台市を回って、商業関係者の皆様と意見交換を行ってまいりました。青森市では、新町商店街常務理事の加藤博さんにご案内頂きました。加藤さんは、ニチイで15年間勤務され、八戸支店長を経て退職し、新町商店街に店を出された方です。

新町商店街の取り組みについては、全振連の広報ビデオ「『連携』によるまちづくり」の中でも紹介されていますが、市役所、商工会議所(TMO)、商店街振興組合、NPO等ががっちりとタッグを組んで、中心市街地の活性化に取り組まれています。残念ながら中心市街地活性化を唱いながら、一方で、郊外開発や公立学校・病院等の公共施設の郊外移転を未だに進める自治体が少なくない中で、青森市は、全国に先駆けて「コンパクトシティ構想」(平成3年)を打ち出し、中心市街地におけるマンション建設等を通じた住民回帰に取り組んでいます。市役所は、再開発広場「アウガ」や「パサージュ広場」等、商業活性化に対する強力なバックアップも行っています。こうした連携によるまちづくりの取り組みは、全国でも傑出した事例ではないかと思います。

加藤さんは、青森市の中心市街地を空洞化させた要因は、第一に昭和56年の県立病院の移転、第二に住宅の郊外移転、第三に郊外店立地を可能とした道路整備と分析されていました。私も、ある商業コンサルタントが言っていた「中心市街地を植物に例えると住宅が根、オフィスは葉、公共施設は幹・枝、そして商業は花なんです。根、葉、幹・枝なくして花をさかせることはできません。」という言葉を紹介しつつ、商業は立地産業ですから、中心市街地で商売が成り立つためには商圏人口を増やす取り組みが必要ということを常々申し上げているとお話ししました。

青森市では、その他にも様々な取り組みをされています。バリアフリー化された歩道整備、「まちまちプラザ」でのお年寄り向けの電動スクーター貸し出し、リテールサポートセンターでの商業ビジネスモデル支援、ストリートマーケット等、ここでは紹介し切れません。全国から視察に来られているということですが、中心市街地活性化に取り組まれている方は、是非とも一度訪れてみたい地域です。

愛知県豊橋市の花園商店街は、東三河地域では衣料品のまちとして栄えてきたが、時代の変遷とともに商業者や買い物客の高齢化が進み、「お年寄りのまち」というイメージが定着してしまった。昭和30年代には50名を越えていた組合員数が現在では28名となり、空き店舗も多い。商店街では「人にやさしいまちづくり」を進める中、(株)豊橋まちなか活性化センターが商店街等活性化補助金を活用して、空き店舗を利用した「車いす工房Kファクトリー」をオープンさせた。

身体障害者や若者がまちに集う

運営は地元団体「車いすを楽しむ会」のメンバー。自走用車いすをはじめ介護用車いす、スポーツ用車いすも取り扱い、障害の程度、体型、用途など考慮した車いすを提供している。Kファクトリーは、今では身体障害者や福祉に興味を持つ人たちの新たな交流の拠点となり、商店街からは「最近では、車いすに乗った人や若者の姿をよく見かけるようになった」という声が聞かれようになった。

空き店舗が生まれ変わる

商店街の雰囲気は変わり、活気が出てきた。地元の一学生が、他の空き店舗に障害者がパンを焼き販売する「パン工房」をオープンさせた。理事長が率先して空き店舗へのテナント誘致を推進し、若者向き雑貨店や高齢者向き弁当配達サービス等の新しい店舗が生まれており、今後も空き店舗が生まれ変わろうとしている。
高齢化というキーワードに福祉が加わり、商店街に再活性化のきざしが見えてきた。この背景には、地元の市民団体、大学、行政、そしてなによりも商業者の知恵と汗がある。
(取材:研究員 高石光一)


最近の報告書から
人材育成をキーワードとした報告書の紹介。
商店街と若手リーダー育成プログラムの調査研究及び商人塾モデル事業
全国商店街振興組合連合会(中小企業庁委託調査事業)
わが国の商業と商業者を取り巻く環境は劇的に変化の中で、商業者も人間力(ヒューマンウェア)を育てていく必要性がある。ヒューマンウェア(人間力)を育成する場として商人塾をモデル的な類型で解説し、各地事例の紹介を紹介している。


イベント
先月、10月24日に文化庁主催の全国フィルム・コミッション・コンベンションが開催(東京国立近代美術館)。
そのなかで、第3部特別試写会で「らくだ銀座」が上映された。
陸上選手の夢、そして跡継ぎの八百屋の仕事も中途半端な二代目、内田光(主演:伊崎充則)は、商店街を歩く夢を見た。さびれた商店街を舞台に個性豊な商店街の人たちと「らくだ祭り」を開催する。出演者は他に吉田日出子、岩城滉一、峰岸徹など多彩。架空の商店街を舞台に、商売の神様「らくだ」をめぐって、豪華キャスト演じる個性豊かな店主たちが繰り広げるてんやわんやハートフルミステリー!!
お祭り・イベントへと上映誘致され、日本中を巡業公開する日本発の上映システム。
→ 映画「らくだ銀座」公式HP http://www.rakuda-ginza.com/

お知らせ

「修行」してみませんか?
景気の低迷が続く中、企業も商店も更なる経営努力に心血を注いでおられることと存じます。
消費者ニーズが日々めまぐるしく変化している状況の中、繁盛しているお店の中で働くことで、その経営ノウハウや売上アップのヒントを直接自ら学び取って下さい!
下記アドレスにあります「修行受入先リスト」はやる気を持ちつつ成功への糸口を探す皆様のために、現場実践のチャンスを設けていただいた企業をご紹介しています。いずれも、独自の経営ビジョンとスキルを持つオンリーワンの企業です。
現状を打破し、成功への一歩を踏み出すチャンスとして、大いに活用して下さい!
http://www.chusho.meti.go.jp/chu_top.html

女性が中心となったまちづくりフォーラム
まちづくりネットワークTOMネットは、全国各地で活躍しているまちづくりの専門家や社会貢献をめざしている民間企業により組織されたNPO法人(特定非営利活動法人)です。現在、全国各地で空洞化の進む中心市街地を地域住民、行政等と一体となって再活性化させることを目的として活動を続けております。
男女共同参画が近年の大きな課題となっていますが、まちづくりでは女性が主役となって進められて来た事例がいくつか見受けられます。アメリカのBIDでは、女性のタウンマネージャーの活躍によりダウンタウンの活性化が図られ大きな成功を収めています。
そこで、『女性が主体となったまちづくり』をテーマに、まちづくりにおいて主体的に活動している女性によるパネルディスカッションを中心に、より具体的で実践的な内容のフォーラムを開催したいと思います。お申し込みは11月20日まで。
→ お申し込み、お問い合わせは… npo-tom@nifty.com
→ まちづくりネットワーク TOMネット http://homepage2.nifty.com/tomnet/

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実施機関:全国商店街振興組合連合会(中小企業庁委託調査事業)
本調査は中小小売商業の商業集積である全国の商店街の実態を把握し政策立案に資することが目的。平成15年10月~11月に全国の商店街様に対しましてアンケート調査(サンプル調査)を実施させていただいております。ご協力ください。


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【発行日】2003年11月10日
【発行】全国商店街振興組合連合会 企画支援部
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