Ⅰ.基本的事項

1.中心市街地活性化対策における商業の活性化のポイントについて

Q1 商業の活性化のための事業に関する支援の仕組みはどうなっていますか。
A1  中心市街地活性化対策は市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進することとしていますが、このうち要となる商業の活性化については以下の3点がポイントとなります。

①中心市街地の商業地全体を一つのショッピングモールと見立て、総合的かつ独自の優れた計画によって推進進される事業を支援する。

②市町村の基本計画に従って、上記の事業を推進し中心市街地の運営・管理(タウン・マネージメント)を行う機関(TMO)に各種支援を行う。
  
③道路・駐車場の整備や区画整理事業など、商業の活性化に資する事業を併せて総合的な取組みを行う地域を集中的に支援する。

①は新しい制度の基本をなす方針です。郊外の新しいショッピングセンターの魅力は、小売業にとどまらず飲食・サービス、文化・芸術等、様々な機能の複合・集積であるという点にあります。その背景には、それを一体的に  企画・運営する機能(マネージメント)が存在しています。そういった発想で考えると、中心市街地はまさに多様な機能が集積するショッピングモールにほかなりません。

 しかし、現状のままの商店街には、それを一つのショッピングモールとしてみたとき、多くの不十分な点があることは否めません。これを見直し、マネージメント機能を強化し、ソフト、ハードの両面にわたって質を引き上げることができれば、郊外の新しいショッピングセンターに伍する力量をつけることができるでしょうし、自然発生のまちである中心市街地としての特質を活かせば、人工的なショッピングセンター以上のものができるに違いありません。

 具体的には、1)望ましいテナント・ミックス(多様な規模、業種・業態の店舗、機能を計画的に集めて配置していくこと)、2)快適な物的環境の提供(清潔な施設の整備、駐車場の確保等)、3)より洗練されたサービス(ソフト事業)など、ショッピングセンターでは当然の運営・管理(マネージメント)を、商店街でも実行していくことです。

 ②は①を実現するための具体的な方法です。中心市街地を一つのショッピングモールとして整備し運営・管理を行うためには、商店街などの合意形成や具体的なプロジェクトを運営する主体が必要となります。そこでそのよう  な主体として「まちづくり機関(タウンマネージメント機関(TMO))」を定め、そこに様々な支援を行います。

 ③も、①を実現するための方法です。国の制度は省庁ごとに分かれていますが、それらを総合的、複合的に活用する事が可能です。



Q2.中心市街地におけるタウン・マネージメント機関(TMO)による事業の手順はどうなっていますか。
A2    タウン・マネージメント機関(TMO)が行う中心的な業務として、

①キーテナントや各商店街の特徴付け等、域内のテナントの配置・誘致
②テナントミックス管理
③駐車場、ポケットパーク等の環境整備
④域内美化、イベント、共通カード

等の関連事業等が予想されます。

 そのためには、市町村が作成する基本計画を踏まえつつ、地元のコンセンサスを得てTMO構想(中小小売商業高度化事業構想)を作成し、市町村の認定を受けることが必要です。
 TMO構想に記載された事業のうち各中小小売商業高度化事業については、TMOが単独で又は商店街の組合等がTMOと共同で実施することとなりますが、その場合、TMO計画(中小小売商業高度化事業計画)を作成し、通商産業大臣の認定を受ける必要があります。
 
 なお、基本計画、TMO構想、TMO計画の関係は表(TMOの事業手順)のとおりです。
TMOの事業手順


Q3 中小小売商業高度化事業の内容及び実施主体はどうなっていますか。
A3  中小小売商業高度化事業は事業の内容及び実施主体により、以下の4つの事業に分けられます。
① 中心市街地商店街整備事業(法第4条第5項第1号に掲げる事業)
事業内容:




商店街をその地区とする組合が、組合員の経営の近代化を図るため、アーケード、街路灯、駐車場、コミュニティホール等の一般公衆利便施設や販売、購買、保管、運送その他組合員の事業の合理化を図るための共同施設の設置、商店街の空き店舗を活用したテナントの誘致等を実施する事業又は組合員が必要に応じ相当数の店舗の計画的な建て替えを実施する事業です。
実施主体: 商店街振興組合、商店街振興組合連合会、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、中小企業団体の組織に関する法律第9条ただし書に規定する商店街組合、商店街組合を会員とする商工組合連合会
② 中心市街地店舗集団化事業(法第4条第5項第2号に掲げる事業)  
事業内容:





市街地に密集又は散在している中小小売商業者が、事業協同組合等を設立し、集団で立地環境の良い新たな区域に移転等(一部移転、出店を含む。)を行うことによって事業環境を改善し、その区域内において営業を行うために必要な店舗、倉庫、事務所等を設置するほか、必要とされる種々の共同事業の一環として集会場、イベント広場、駐車場等の整備等を実施して、中小小売商業者の経営基盤の整備、強化を図る事業です。
実施主体: 事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
③ 中心市街地共同店舗等整備事業(法第4条第5項第3号~第6号に掲げる事業)
事業内容:



 中小小売商業者の経営の近代化、立地の転換、顧客吸引力の向上等を図ることを目的として、組合、合併会社又は共同出資会社等がその組合員、出資者等の店舗を集合させたいわゆるショッピングセンタータイプの店舗やそれと併設される駐車場等のその他の施設を設置する事業です。  
実施主体: 事業協同組合、事業協同小組合、協業組合、2以上の中小小売商業者が合併をして設立された小売業に属する事業を主たる事業として営む会社、2以上の中小小売商業者が資本の額又は出資の総額の大部分を出資している会社
④ 中心市街地商店街整備等支援事業(法第4条第5項第7号に掲げる事業)
事業内容:
中小小売商業者の集積を支援するため、商工会、商工会議所、特定会社又は公益法人が、①~③の事業を行うものです。 
実施主体: 商工会、商工会議所、特定会社、公益法人
 なお、①~③の事業については、各実施主体とTMOが共同で、④の事業については各実施主体とTMOが共同で又はTMOが単独で実施することになります。
(詳細については法第4条第5項各号、政令第4条及び中小小売商業振興法第4条及びⅠ-4等を参照してください。また、中小小売商業高度化事業の趣旨については基本方針二 2の1の1(1)を参照してください。)