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「あきんどPLAZA」の事務局です。
今年度第2号、6月10日号です。
さて、6月10日と言えば、「時の記念日」ですね。大正9年(西暦1920年)に制定されたもので、何でも、「日本書紀」に天智天皇10年(西暦671年)4月25日(新暦6月10日)に水時計を新しい台に置き、初めて時を打ったとの記載があることに因んで制定されたそうです。
「時は金なり」ということわざがありますが、携帯電話など情報機器では時を惜しんで開発競争が激しく、また、テレビ放映予定の健康に良い商品をいち早く店頭に並べたりと、最近のビジネスでは、まさにこのことわざどおりといった感じですね。
こんな記念日に「時間」の大切さをじっくり考えるのも、よいキッカケとなるかもしれません。
さて、今回は以下のメニューでお届けします。また、このメルマガへのご意見・ご感想も下さいね。

一店逸品運動でいきいき商店街(第2回)  (株)ワイ・キャップコンサルティング 代表取締役 太田巳津彦
これならできる!ITで商売繁盛(第2回)  NATUコンサルティング 代表 青木悠子
<商店・商店街NOW!>生まれ変わりを図る商店街の挑戦  上通商栄会(熊本県熊本市)
<経済産業局レポート>
・今こそ商人マインドを呼び起こせ!(中心市街地活性化シンポジウムの報告(第2回))
 中部経済産業局
・おいでよ!もっと都心へ!-札幌都心共通駐車券事業4月末にスタート- 北海道経済産業局
お知らせコーナー



 【 第2回 】
  (株)ワイ・キャップコンサルティング 
  代表取締役 太田巳津彦

逸品が求められる背景その2 (「おすすめを期待しているお客様」)
 大店法がなくなり、わが国の小売業界は、激戦の時代に突入した。そして、競争が激化した結果、お客様にとっては、選択できるお店の数も種類も増えた。したがって、同じ商品や同じサービスであれば、お客様は、より安い店、より信頼性の高いお店を選ぶことになる。たとえば、ディスカウントストアが流行ったり、アウトレットモールがもてはやされるのは、顧客の価格志向が、バブル崩壊後、鮮明になってきた結果といえる。また、同じ商品であれば、より知名度の高い大型店を選択するというのが、消費者心理であり、結果的に、同じ品揃えであれば、地元のお店から客足が遠のくということになる。
 さらに、利便性を求める顧客ニーズは、大型店では飽きたらず、ネットショッピングやテレビショッピングという購買行動に現れている。たとえば、インターネット上のお店であれば、24時間一年365日営業しているので、便利である。

 しかし、こうした便利さや安さだけで、果たして、今のお客様は満足しているだろうか。機能性や利便性を追求すれば、お店ではなくインターネットでの購入という結論に行き着いてしまうだろう。それでも、わざわざ、お店までお客様が足を運ぶのは、価格やブランド以外に、お店からの情報を重視しているからではないだろうか。たとえば、テレビのワイドショーで、グレープフルーツが体に良いと放送されれば、店頭からグレープフルーツがなくなってしまうという現実をどう捉えればよいのだろうか。お客様は、自分にとって有効な情報に飢えているのである。かつては、こうした顧客への情報提供を、地元商店が行ってきたが、それがマスコミにとって替わられているということである。

 お店が、自信を持っておすすめする商品やメッセージは、きわめて新鮮で有効な情報なのである。そこにしかない商品やサービス、お客様自身のことを考えた商品が、今まさに求められており、それが地元店にとっての財産になりうるのである。たとえば、週末ともなれば、東京近郊に住む女子高校生が、カリスマ店長のいでたちを見るために、わざわざ渋谷の「109」まで足を運んでいる。彼女たちは、カリスマ店長の着こなし方法という情報を得るために、時間とお金を費やして、お店まで足を運んでいるのである。年齢に関係なく、お客様は情報に飢えているのである。

 かつては、地元のお店が情報提供や生活提案をしていた。私は、東京の谷中というところで生まれ育ちったが、小さい頃、よく母親にくっついて、買い物に出かけていた。毎日の買い物の中で、母が必ず最初に行くのが、八百屋さんだった。お店に行くと、八百屋のおじさんが、その日のお買い得や旬の野菜を、すすめてくれた。しかも、必ず食材を使った料理の提案をしてくれるのである。たとえば、「今日のジャガイモは肉じゃがにすると、ホクホクしておいしいよ、奥さん」という具合である。今風に言えば、メニュー提案ということなのだろうが、昔は日常的にお店では、こんなおすすめをしていた。母親は、八百屋さんに最初に立ち寄ることで、その日の夕飯の献立のヒントをつかみ、八百屋の次に肉屋に行くか魚屋に行くかを決めていたのである。
 お客とお店の人のこんなやりとりこそ、本来地元店が最も得意としていたところであったはずだ。それが、スーパーの出現で、セルフサービスで大量に売るのを見せつけられてからは、セルフが最も親切な売り方だと考えたのか、こぞって接客をしなくなってしまった。

 こうした点をふまえるならば、地元商店は、おすすめや提案ということについて、小売の原点に戻って、もう一度見直す時期にきているのである。そして、逸品とは、まさに、お客様への「おすすめ」そのものなのである。



 【 第2回 】
  NATUコンサルティング 代表 青木悠子

個客商売で売上を上げる
 時代が様々な形で変わってきたことを、皆様、日々の生活、仕事の中で実感されていることでしょう。夜中まで営業している店が増えた。女性で働いている人が増えた。男性でもスーパーマーケットで買物している人が目につくようになった。外国人が増えた。その中でも、皆様の仕事に直結する現象は、子供の数が減ったということです。そのあたりを駆け回る子供を本当に見かけなくなりました。このことが、皆様の商売にとって、最も重要なことです。

 昔、子供が多かった時代は、目の前にいるお客様を失っても、新しいお客様が来てくださる可能性は、今と比べ物にならない程、高かったのです。けれど、今の時代、目の前のお客様を逃がしてしまうと、新しいお客様が来られる可能性は、とても低いのです。昔は、お客様の数で勝負できたけれど、今は、それが出来ないということです。それでは、皆様のお店の売上が減少するのを、手をこまねいて待たなければならないのでしょうか。そうではないですね。ひとりのお客様の売上を上げること。ひとりのお客様に、できるだけたくさん買って頂くことを考えなければならないのです。
 これを『生涯価値』と言います。できるだけたくさんのお客様に来店して貰う時代から、ひとりのお客様に出来るだけたくさん購入して頂く時代へ。商売のやり方、考え方を徹底して変える必要があります。時代は、『顧客』から『個客』へ、ひとり、ひとりのお客様を徹底してだいじにすること。目の前のお客様を失うことは、そのお客様の生涯にわたる売上を失うということ。ひとりのお客様の貴重さが、昔とまったく違ってきたのです。
 では、どうすればよいのでしょうか。

 ひと口に顧客満足と言っても、お客様ひとりひとり、満足の種類は違います。丁寧に接客して欲しい人、ほっておいて欲しい人、欲しい商品も昔に比べると千差万別です。この違いに対応するには、お客様のことを知ることが一番です。そのためには、お客様の情報をこまめに気長に集めていく必要があります。そのためのポイントカードであり、アンケートであり、顧客データベースなのです。こうしたツールは、ポイントカードさえ導入すれば、売上が上がるという考えがありますが、まったくの幻想です。どういう情報を集め、どういう使い方をすれば、お客様に満足して頂けるのか、その店に合ったストーリーを立てる必要があります。お客様の名前を、比較的聞き出しやすい不動産会社、クリーニング店などと、難しいスーパーマーケットでは、やり方は違ってくるでしょう。

 ここでは、比較的どの業種でも使えるCTI(コンピュータ電話統合システム)を考えてみます。これは、電話がかかってくると、ナンバーディスプレイの仕組みで、パソコンにお客様情報が表示されるものです。小売店であれば、通販はもちろん、予約商品の回答には最適です。電話を頂いたついでに、購買履歴を見て、そのお客様に合った商品のお勧めもできます。美容院などの予約が必要な店にも最適です。出前があるおそば屋さんなどには、地図の表示もできます。こうしたツールを積極的に取り入れるかどうかで、お客様からの支持は大きく変わってくることは間違いありません。
テキスト ボックス:




生まれ変わりを図る商店街の挑戦(上通商栄会(熊本県熊本市))

■「美と商いの融合」をコンセプトに
熊本市の中心街である上通にある4つの商店街振興組合からなる上通商栄会。以前は、客層も高齢者が多い、どちらかといえば暗いイメージの商店街だったのが、1998年の改修工事により、太陽光の差し込む、明るい商店街へと生まれ変わった。また同時に全国商店街初の「木(イペ)の床」を採用し、ぬくもり、優しさの演出に成功している。これを機に、もともとギャラリーや画廊が商店街内に多いという特徴を活かし、「美と商い」という明確なコンセプトのもとに商店街の生まれ変わりを図った。



■「上通ファンクラブ」を設立して顧客の囲い込み
まずは上通のファンを作ろうという発想から、豊富な特典が用意された上通ファンクラブが運営されている。特典は映画の試写会招待や、野球観戦、コンサートの鑑賞券などが抽選で当たったり、1万円で1万2千円の「上通プレミアム商品券」が購入できるなど、お得感が高い。ホームページはその窓口的役割を果たしている。登録料無料のこのファンクラブは、数々の魅力ある特典が用意され、現在約8,000名の会員を抱えている。

■「電子マネーEdy」を全国の商店街に先駆けて導入
電子マネーEdyとは、レジの読み取り機にかざすだけで支払いが可能な非接触型ICカードで、ampm等のコンビニなど全国で使える場所が広まりつつある。このEdyは上通商栄会が今最も力を入れており、また商店街では初の導入ということで全国からも注目を浴びている。上通商栄会でのEdy活用術は、ANAとの提携で、Edyカードで代金を支払うことで、200円につき(200edy)ANA搭乗距離1マイルが貯まるという仕組みになっている。等価計算で買い物をすることが可能で、Edyで代金を払うと割引価格が適用されるなど、多くの特典も用意されている。

■上通商栄会の新たな挑戦
いま注目しているのが、携帯電話を店頭の端末にかざすだけで買い物料金の精算が出来るという仕組みである。現在のクレジットカードよりもユーザーに便利な仕組みになれば、若い買い物客も多い上通商店街にとって、こうした携帯電話の上手い利用方法が今後の買い物客囲い込みに一役買う可能性は大きい。そのため、今後は携帯電話向けコンテンツの作成への取り組みを考えている。全国商店街初のEdy導入を行った上通商栄会の新たなる挑戦は続く。

上通商栄会のホームページはこちら!



今こそ商人マインドを呼び起こせ!
(中心市街地活性化シンポジウムの報告 【 第2回 】)
                                        中部経済産業局 流通・サービス産業課

平成16年3月10日(水)金沢市において標記シンポジウムを開催し、2名の講師による講演及びパネルディスカッションを実施しました。参加者の評判も上々で、「多くの商店主に聞かせてやりたい」「商店に“あきんど”マインドを理解してもらう必要があると感じた」「『もうける』という商売の原点に戻ることの大切さを再認識した」等々の意見が寄せられました。シンポジウムの概要については別途報告書を作成中ですが、ここでは講演者の一人である朝日大学マーケティング研究所鈴木博道所長の講演概要について紹介します。

朝日大学マーケティング研究所長  鈴木博道氏
昭和45年3月 慶應大学経済学部卒業
平成3年1月~
平成5年2月
富士総合研究所 経営戦略研究所長 店舗立地、出店計画の調査分析(エリアマーケティング)
平成5年3月~ (株)メディアマーケティングネットワーク会長 マーケティング゙調査、分析(メディア、大規模店舗、教育産業等)
平成14年4月~ 朝日大学マーケティング研究所長、教授 商店街活性化のためのマーケティング
平成15年4月~ 商店街活性化シニアアドバイザー 「一宮あきんど塾」の指導

商人はお金に対する執着心を持て、商売にはイマジネーションが必要、智恵を出し、競争して強くなる
1.商店街の競合はコンビニだ
2.そもそも商人とは、
(以上は前号5.25発行済みです。第1回を読みたいという方はバックナンバーを見てくださいね!


3.守るべきものは個人の売る能力
 次に商店街について考えてみよう。そもそも商人は売る能力が問われている。守るべきは、個人の持っている売る能力であり、土地・建物ではない。元来商人は定着せず、移動しながら交易能力を磨き、自由に渡り歩いていた。その商人を定着させたのが行政であり、商人を課税対象とするために、市をたてて、地代に対していくらという縛りをつけた。本当は嫌だったが、無理やり定着させられ、それで街ができた。今は逆で、店(街)を残すことに主眼がおかれていて、守るべき「商人の能力」は重要視されていない。
 最近、怖いことが起きている。インターネットの世界で商人が増えていること。店を持たず商品だけを持ち、自由に販売している。ここに本来の商人の形態が増えてきている。
 商売で一番大事なのは、商人の原点である「売れるものを仕入れて売り切ること」であり、商店街を守ることではない。

4.事例紹介
■ブティック
 この店はセンスはいいが、新規客が増えなかった。高いと思われているので、2万円以下のものは商札をつけた。ショウケースの中は、必ず1~2週間に一度は変えるようにした。それだけで売上が1.5倍に増えた。ブティックでは売り子のセンスや年齢層にも影響する。

■パン屋
 お客は売れているパンを求めている。「一番売れてる」「焼きたて」など表記が大切。さらに店の前にメッセージの立看板を置いた。それも絵をいれて分かりやすく。一瞬で目にはいるのは15文字まで。卸もとの大手製パン会社がケーススタディで取り上げたいという申し出がでるほどに成長した。

■毛糸屋
 毛糸を多く買ってもらう工夫に、従来の編物教室を発展させ、生徒さんたちの販売会を3日間行った。さらに素晴らしかったのは、販売当日、自分が編んだ作品を着てくるようしたこと。これで参加者のモチベーションも高まり、さらに3着分の毛糸の使用にもつながった。500人のお客様が来場、皆さんに喜んでもらえ、売上も上がった。

 商売には、イマジネーションが必要である。売るだけではなく、買ったお客さんのことをイメージしないといけない。例えばパン屋であれば、買った高校生がどこで誰とどんな風に食べているのかを想像すること。商人はお客が見えなくなったら終わりであろう。また、一日の最後に売上を計算しない店主もダメ。自分で数えて今日一日の感触を確かめることは、基本(でも、できていないお店が多い)。まず自分のお店の生き残りを考え、隣のお客様を奪うくらい競争して強くなる。とことん儲けにこだわり、智恵を出しきることが必要なのである。個店に競争力がつけば自ずと商店街も元気になってくる。



おいでよ!もっと都心へ!-札幌都心共通駐車券事業4月末にスタート-
                  北海道経済産業局 地域グループ 流通産業課長(商業振興室長)米本道雄

 都心部の中心部商店街の地盤沈下が指摘されるなか、札幌・大通地区の6つの商店街は4月28日から「札幌都心共通駐車券事業」をスタート。
そのオープングセレモニーに出席しましたので、北海道からの旬な情報としてその概要をお知らせいたします。

当該事業は、中心市街地の活性化を含めた都心のまちづくりに取り組むため、札幌市と札幌商工会議所で組織した札幌TMOが主体となり都心の6つの商店街と協働で、また、駐車場事業者の協力のもと実施。スタート時の参加者は、大通周辺の小売店、飲食店、医療機関など103カ所と29の駐車場で収容台数は合計2,165台。従前、個々の店舗が独自に行っていた買い物客への駐車券サービスを同一のルールのもと共通の駐車券を発行するというもの。これによって同事業に加盟する駐車場ならどこでも駐車出来ることとなり、駐車場探しや駐車場待ちが減り、郊外に流れているマイカー利用客を呼び戻すとことが出来ると大きな期待が寄せられている。
 共通駐車券は30分・60分・90分の3種類あり、利用額によりそれぞれの店舗が発行する。30分券は貯めて後日でも利用することが出来る。狸小路を含め大通り地区の6つの商店街の店舗数は約450店あり、札幌TMOでは、その1/2の店舗の加入を見込んでいる。また、地区内の百貨店も加入を検討しているところ。この地区内の駐車場は60カ所あり、今後はマイカー利用者の利便性を向上させるために加盟店舗・駐車場とも増やしていく方針と聞いている。

 札幌TMO運営委員会の岩井委員長は「地区内の6つの商店街が一体となって共通駐券事業に取り組むのは意義あること。札幌都心部に賑わいと活力を取り戻す第一歩としてさらに内容を充実させたい」と意気込みを見せている。当局としても札幌TMO事業の目玉事業として支援を続けていきたい。
 なお、参加店、駐車場は札幌TMOのホームページで紹介されていますので参照して下さい。
 同様な事例としては丸の内PARK-IN(16年4月)があるほか、駐車案内をインターネットと携帯電話で調べられる「s-park」等様々なサービス提供の試みを財団法人駐車場整備推進機構が「日本ベストパーキング賞」の中で紹介しているので参考にして下さい。


お知らせ

平成15年度実施の各種報告書が全振連のホームページからご覧になれます。(PDFにて提供)
1 商店街等活性化に係る事例調査研究
平成15年度中小企業庁の委託調査事業で、平成14年度に商店街等活性化事業、又は、コミュニティ施設活用商店街活性化事業を実施した商店街等の事例99事例を個別に掲載しています。また、都道府県別、事業種類別に検索もできます。今すぐご覧になりたい方はこちらからどうぞ! また、一部の活用事例は動画でもご覧になれます。

2 商店街インターネット活用術 -ホームページを活用して商店街を変える-
平成15年度中小企業庁補助事業「商店街近代化研究会」による報告書で、商店街におけるIT化の進展状況、商店街におけるインターネット活用のポイント及びホームページを有効活用している商店街の事例を紹介しています。今すぐご覧になりたい方はこちらからどうぞ!

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【発行日】2004年6月10日
【発行】全国商店街振興組合連合会 企画支援部
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