あきんどPLAZA
全国商店街振興組合連合会Vol.04
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先日、読売新聞の日曜版に連載されている「市場を行く」で二ューヨークマンハッタンの高層ビルの中にある「ユニオンスクウエア・グリーンマーケット」(12月7日掲載)が紹介された。
このマーケットは、週4日開かれる近郊農家の青空市。都市計画家のバリー・べネピー氏が開発にさらされる近郊農家の存続と都市生活者の食生活改善を目的に創設したNGOが市から場所を借りて運営するマーケット。その場所は、スタートした約27年前はマンハッタンでも麻薬密売人がたむろするような所だったが、今では市場のにぎわいにつれ、地域が変わって活気のある、市民の憩いの場に変わってきたという。
一人の人間の発想と志が人々の共感を生み、お金をかけなくても街を変える! 素晴らしいですね。

さて、今回ドイツ、イタリアを調査した「国際化研究会(全振連主催)」のコーディネータ建築家 小宮和一氏による取材リポートをご紹介します。

コンテンツ
次代の街づくり、店づくりを先進都市に観る ――― 建築家 小宮和一
大木ヒロシの繁盛店づくり ――― ジャイロ流通研究所 大木ヒロシ
自社の利益はともかくお客様に対してその商品が役立っているかどうかだ ― 中小企業庁 商業課長 横田俊之

次代の街づくり、店づくりを先進都市に観る

小宮さん 【第1回】
シュバイツァ通りには
“穏かな風”が吹いていた
(フランクフルト市)

建築家 小宮和一

11月16日から8日間の日程で国際化研究会のコーディネータとしてフランクフルト、フライブルグ、ミラノの各市をメンバーと共に観て回った。3回にわたって連載する。

“人”が魅力の専門店街


黄色いプラタナスの枯葉が煉瓦の歩道に舞う11月中旬、街は赤、グリーン、ゴールド…クリスマス色に染まりかけていた。4週間も続くドイツ特有のクリスマス・シーズン“アドベント”をひかえ、樅ノ木の準備に忙しいシュバイツァ通りを商店街の代表者であるレイル女史の案内で歩く。

通りには、生鮮食品、デリカ、パン、菓子、花など生活と身近な業種から、靴、ファッション、インテリア、美術品などハイセンスな店まで約100店の専門店の魅力的なファサードが並んでいた。
ハム・ソーセージ店では店先のスタンドでランチタイム中のサラリーマン、ケーキ店のショーウィンドーをのぞくシックな身なりの老夫婦、クリスマス用品を選ぶ子供を連れた若い母親…。彼らの視線の先には決まって笑顔の店員がいる。レイル女史が力説するようにシュバイツァ通りの魅力は月並みな言い方ではあるが“人”であることに気づかされる。
マニュアルどおりのセルフ販売、無機的な自動販売機、そっけない応対、商店街の衰退は冷え冷えした風を自ら吹かしていることにあるのではないだろうか。







クルマ社会から再び公共交通へ

通りの中央をライトブルーの路面電車(トラム)がメルセデスやワーゲンを追い抜いていく。フランクフルト市民の交通の主力は、エコロジーや健康志向などを背景にクルマからUバーン(地下鉄)、Sバーン(市内電車)、トラムの公共交通システムに移行した。
わが国の“中心市街地”問題の根源は過度にクルマに依存したライフスタイルにあると言える。
クルマ中心の生活は、郊外の大駐車場を持つ大型店を繁栄させ、都市の環境悪化を招いたことにとどまらす、ショッピングやお洒落して街を歩くこと、文化や芸術にふれる楽しみまでも放棄させたのだ。
逆説的な言い方だが、クルマ至上主義を止め、お洒落や文化、芸術に興味を持たない限りわが国の中心市街地は活性化しないのではないか。と、そんな思いでトラムが走り抜けた後の穏かな風を感じた。

博物館通りとの連携

人口約65万人、詩人ゲーテの生誕地で知られるフランクフルト市の中心市街地は、マイン河北岸にあるDOM(大聖堂)を起点にした約1km圏内で、商業の中心はハウプトヴァッヘ周辺である。
戦災からの復興、高度成長、中心市街地の衰退とわが国の街とよく似た課程を辿ったフランクフルトのターニングポイントは「街の文化や芸術は地域経済のために必要である」という考え方だったという。

84年、マイン川南岸のドイツ映画博物館の建設を皮切りに、この地区に次々と博物館や美術館が建てられ、“博物館通り”とまで言われるようになった。
博物館通りの出現は荒廃した街の良くないイメージを払拭し、また分断していたマイン川北側と南のザクセンハウゼン地区との交流にも大きく貢献した。
シュバイツァ通りはSバーン南駅とこの博物館通りを結ぶ街路である。レイル女史によると商店街組織が出来たのが87年というから商店街の繁栄が博物館通りと密接であることがうかがえる。
「文化は金にならない」と言うどこかの先生方に聞かせたい話である。

ウェルテルの街は悩み、穏かな解決方法を選択した

詩人ゲーテはこの地で生まれ、ここで「若きウェルテルの悩み」を執筆したという。生家を復元したゲーテハウスの庭でわが国の商業や中心市街地の行く末を考えてみた。
急速な成長の末、街や商業は多くの悩みを抱えることになる。悩みを解決する方法として我々が観たフランクフルトの選択肢は「利便や効率主義から“人”の力による商業」「クルマ社会からの脱却」「街文化を見直した都心回帰」などである。
シュバイツァ通りで感じた“穏かな風”は心地の良く知的であった。


大木ヒロシの繁盛店づくり

大木さん 【第3講】
- 販売力アップの具体策 -
ジャイロ流通研究所
大木ヒロシ

販売力アップの総仕上が販売員のセールス力アップということになります。そして、この販売員のセールス力アップはコストと比例しないといった特徴を持っているのです。

例えば、同じ時給の販売担当のパートであっても、同様の時間の勤務でいながら、大きく差がつく場合が少なくなく、専門性の高い商品や買い回り商品については、その差はより顕著となると言うことであり、セールス力といった見方からすると同じ費用(人件費)であっても倍の効率を望むこともあながち無茶とは言えないのです。
要するに、経費をかけず販売力アップを果たすとことができるといった意味で既存店の販売力アップのための実に重要なポイントが販売員、個々のセールス力アップ化なのです。

セールス力アップは販売員の個性による部分が大きなウェートを占めており、教育の限界というものがあります。対人に不向き、いわゆる接客に向かないといった個性の者を教育するのは無茶だし、無理だと思った方が実際的なのです。要するにカニはどんなに教えてもまっすぐ歩くことはできないということであり、採用段階での入念なチェックは欠かせません。とは言え、既存の販売員をそうやすやすと変えることも出来ないというのも本音でしょう。
そこで既存の販売員のセールス力を上げる効果的な教育が必要となってくるのです。

既存販売員のセールス力アップ具体策
■基本的考え方


セールス力というとセールストークの問題に偏りがちになりますが、トーク自体は欠かすこはできないがセールス力の一部に過ぎないのです。セールス力とはその販売員個人の全人格的な対人対応ということなのです。して見ると、重要になのは、自覚ということになります。
販売員の自覚を促すための販売員教育の中で良く言われるのは「販売員の皆さん、皆さんの給料はいったい誰がくれているでしょうか?」といった質問がなされます。
答えとして、「ハイ、銀行です」といった笑い話もありますが大概のまともな販売員は「それはお客様です」と言うことになります。そしてこれが「正解」だと思っていたことが販売員教育に肝心かなめの「自覚」の醸成に至らなかった原因なのです。
「販売員の給与のために買い物するお客などいる筈は無い」のに、販売員サイドで「お客が給料をくれている」と考えれば、「給与待遇が悪いのはお客が買わなくなったせいだ」と言うことになってしまうのです。
要するに業績の悪化を不景気のせいにして片付けてしまい、店と販売員は相変わらずといった状態が不況脱出を不可能にしているのです。その証拠に、大半の店で売上拡大期の以前と消費低迷の今も販売員の意識も対応も変わってはいない自らは変わることをせずにお客すなわち景気が変わることばかりを望んでいるのです。

「夏が過ぎ、秋も終わり、冬のただなかに居る、そして又くる春をじっと待っている」しかし、今回の不況は季節的な変化などでは無く、場所移動による変化に近いのです、常夏の国から北の国にその住みかが変わったのであり、その国にいるのだと言う自覚さえあれば、実はいまが春だということに気づくことができます。そして北国の生活対応に自らが変わらざるを得ないということなのです。
要するに、「売れないのはお客のせいでは無く、自分(販売員)のせいだ」ということであり、自分の給料は「自分が自分にくれている」ものだという自覚を持たせる以外にセールース力アップのための自発性は生まれてこないのです。そして自発性の無い教育は空しさしか残らないものなのです。

要するに自覚を持つことで販売は自ら高まって行く可能性が高いのです。そしてそれこそが一人一人の売上生産性を高める最も効率的な早道です。

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自社の利益はともかくお客様に対してその商品が役立っているかどうかだ

横田さん ~ジャパネットたかたの
経営理念~

中小企業庁 商業課長
横田俊之

11月に佐世保市にあるジャパネットたかた本社にお邪魔し、高田社長のお話を伺ってきました。
ジャパネットたかたは、この10年間で売上高を30倍に伸ばし、2002年12月期624億円、経常利益31億円の企業に成長している企業です。TV通販では、「えっ。あの人が社長なの?」という反応をされることが多いようですが、高田社長が自ら出演され好評を博しています。

『待ち』より『攻め』の経営

高田社長の実家は写真屋さんで、高田社長も78年に松浦市で開店。月販55万円から工夫を重ねて300万円に伸ばし、佐世保に進出されました。佐世保でも、限られた人口のなかで、プリントの受注を増やすために取り次ぎを一気に300店展開。
当時まだなかったスピード仕上げのシステムを導入し、出勤前にフィルムを預ければ、帰りにピックアップできることがうけて、1日200本だったフィルム扱い高を、5~700本集めるまでに発展させました。こうした立地の不利さのゆえに、「『待ち』より『攻め』が重要だ。」というビジネスの原点を掴まれたそうです。
作り手と買い手をつなぐのが我々流通だ

「作り手と買い手をつなぐのが我々流通だ」という信念の下、消費者の目線で、その商品を使うことでどのように生活が豊かになるかを語るという点が、同社の企業理念だと言えます。このため、自社の利益はともかくお客様に対してその商品が役立っているかどうかを重視されています。POPの書き方一つで売り上げは1割も変わってくるそうですが、消費者に対するメッセージを発信できない小売業は淘汰されていくと改めて感じました。

今できることをやる

今後の企業戦略として、家電・AV以外への展開を伺いました。「洋服屋がパソコンを売っても買ってもらえるか。自分たちができる分野を見失ってはならない。もちろん周辺分野は扱っていきたい。」ということでした。
また、現在は、売り上げのうち、TV通販が4割、カタログが4割、インターネット1割、ラジオ1割という状況ですが、どのメディアに力点を置くのかと伺ったところ、「今できることをやっていく」ということでした。確かにメディアや消費を巡る環境変化は激しいので、予め計画や目標を立てるのではなく、その時点、その時点で最善を尽くすということに尽きるのでしょう。

今後の課題は人材育成とのことです。「企業の夢、メッセージを出すことによって人材は集まってくる。そのために自分自身が社員に語りかけるように努めている。」ということでした。


イベント
全国で改正消費税講習会を開催(1月開催)!
平成15年度税制改正により、消費税法が改正されました。消費税の改正内容は
(1) 総額(税込)表示の義務づけ
(2) 事業者免税点の引き下げ
(3) 簡易課税制度の適用上限の引き下げ など
これに伴い、平成16年4月1日から適用される改正消費税の講習会が、全国各地で計画されています。
主 催 日程(予定) 会 場 講 師 お問合せ(TEL)
鶴橋商店街振興組合 1月27日(火)
19:00~21:00
東小橋会館
(大阪市東成区)
税理士 森省三 06-6976-7086
群馬県商店街振興組合連合会 1月28日(水)
14:30~16:30
伊香保「ホテル松本楼」
(群馬県伊香保町)
税理士 塚越正司 027-232-4123
長野県商店街振興組合連合会 1月29日(水)
13:30~15:35
松本商工会館
(長野県松本市)
税理士 金井幸重 026-228-1171


「まちづくり条例実践セミナー」開催!
まちづくり条例研究センターでは、「まちづくり条例によりまちなか再生をどう図るか」、また「まちづくり条例によって商業機能の適正な配置誘導を行なうことができるか」という皆さんのご要望に応えて、まちづくり条例実践セミナーを開催します。
参加者募集中です。
[ホームページ] http://www.machiken.gr.jp/index.cfm
日 時 2004年1月29日(木)13時~、30日(金)9時~12時
場 所 中野サンプラザ会議室・研修室
(JR中野駅北口徒歩1分)
Tel: 03-3388-1155
参加費 15,000円(交流会は別途5,000円)
なお、宿泊は各自ご予約下さい。
主な内容 (1)集客施設の立地動向と地域社会との対応、商店街の役割
(2)集客施設の適正配置とまちづくり条例の役割
(3)ワークショップ(新企画)「我が町のまちづくり条例を作ろう」  


お知らせ

「元気な商店街・7つの秘訣(ダイヤモンド社)」発刊!
全振連推薦図書です。
元気な約40の商店街の成功の秘訣を「7つの秘訣」に分類して解説。読者が自分の商店街診断できるチェックリストもあり、商店街再生テキストとして最適です。
メルマガの執筆者横田俊彦中小企業庁横田俊之氏や当連合会の桑島俊彦理事長などキーパーソン10名に聞いたコーナーもあります。
[著 者] 鶴野 礼子((社)全国信用金庫協会監修)
[定 価] 1,600円(+税)
[お問合せ] (株)ダイヤモンド社 出版事業局第二編集部
[電 話] 03-5778-7235
元気な商店街7つの秘訣

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【発行日】2003年12月25日
【発行】全国商店街振興組合連合会 企画支援部
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